【筋力と筋量の違い】筋力が上がれば結果的に筋量が増えるのでは?
筋トレの情報をいろいろ漁っていると、必ず目にするのが「1~3RMだと筋力アップ」「8~12RMだと筋量アップ」という重量の目安です。長くトレーニングを続けている人なら、“筋力と筋量の違い"は当たり前のこと過ぎて考えもしないことかもしれません。
しかし、実は告白すると「筋力(扱える重量)がアップすれば自ずと筋量の増加に繋がるので、同じことを言っているのでは」と考えていて、いまいち違いが分からない時期がありました。
もしかすると、同じように違いが明確になっていない初心者の人も多いのではないかと思い、違いをまとめてみたいと思います。この一見すると初歩的な違いでも、きちんと理解しておくことでトレーニングへの取り組み方が変わってくると思います。
筋力アップとは
『漸進性過負荷(ぜんしんせいかふか)の原則』という言葉は一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ここでは詳しく説明しませんが、簡単に言うと「負荷・重量を徐々に上げていくことで筋肉が大きくなる」ということです。
逆にいつも同じ重量、同じ回数をこなしているだけではトレーニングと呼ばず、それはただの「運動」ということになります。
さて、筋力アップとはつまり「より重いウエイトを扱えるようになる」ことですが、前述の『漸進性過負荷の原則』を重ねると「おや?」となりませんか。筋力(扱える重量)アップで筋肉が大きくなる、つまり筋力アップは筋量アップと同じことを言っている気がします。この部分が、私が誤解したロジックです。
結論をまず書きますと、「1~3RM」でも筋量はアップします。しかしより筋量をアップさせよう、筋肉をデカくしたと思ったら効率が悪いのです。この筋力アップというのは、パワーリフティングなどの体重別の競技を思い浮かべてみると良く理解できます。
下の動画では、なんと体重59kgの選手が165kgのベンチプレスを成功させています。全体的に細身で腕も細く、ジムで見かけても60kgがやっとでは、と思ってしまいそうです。何度見ても信じられない動画です。
制限体重(筋量)内でいかに筋力を上げられかが重要なので、できる限り筋量はアップさせずに扱える重量を増やしていきたいのです。そのために行うトレーニングが、1RMの重量をいかに上げていけるかということになります。
また、神経系の発達や、いわゆる慣れやコツを掴んで上達することで、重量が上がっていくことも大きなポイントです。
さて、果たしてこのようなトレーニングは一般的なトレーニーが望んでいる内容でしょうか? ボディメイクを目的とする人たちは、筋肉の大きさであったりより良い形を求めます。つまり、1~3RMのトレーニグは私たちが求めているトレーニングとは違うものと言えるのです。
もちろん、1~3RMのトレーニグは無意味だと言うことではありません。いつものトレーニングに慣れてしまって、その状態を打破するためにMAX重量に挑戦することは良くあります。いつもと違う刺激を筋肉に与え、また違った大きな負荷を感じさせることも時には必要です。
筋量アップとは
筋量アップとはそのとおり筋肉の大きさ、量を増やしていくことです。筋肉を大きくするには強い負荷に加えて、その回数が重要となります。筋肉が力を出しているトータルの時間が大切な要素なのです。
その点でも、1~3RMですとあまり回数をこなせませんので、筋量アップのトレーニングに向いているとは言えません。また、逆に回数が多すぎてもいけません。20回を超える場合は直接的な筋量アップには繋がりません。
もちろん言うまでもありませんが、筋量アップ・筋肉の成長には栄養や休息も欠かせません。きちんと忘れずに行っていきましょう。栄養の摂り方については以下のページも参考にしてみてください。
回数を多くこなして、筋肉を素早くパンプアップさせることもあります。例えば肩の種目であるサイドレイズは、ある程度ハイレップでパンプアップさせると効果的と言われています。これも、たまに高重量を扱って刺激を変化させるのと同様、ハイレップの刺激を与えてみるというのも筋量アップへの一つのアプローチです。自分に適した方法をいろいろ試してみてください。
まとめとして、
ひとことで言うと、筋力は「扱える最大重量」、筋量は「扱うボリューム」に依存するものと考えるといいでしょう。
例えばともに1RMが100kgの二人のトレーニーがいたとして、次のセットを続けた場合、Bの方がボリュームがあり筋量もあると推測できます。
- A:100kg 1回、95kg 1回、90kg 1回、85kg 1回、80kg 1回(ボリューム450kg)
- B:80kg 8回、70kg、8回、60kg 8回(ボリューム1,680kg)
では、Aのトレーニングがいけないかというとそうではなく、次の最大重量は105kg、110kgと目指すように、筋力を上げていくことを目的としているのです。